2015年9月14日月曜日

てんかん外来の現状:受診者数や年齢、診断など

雨が多いなとは感じていたものの、先日からの豪雨災害は想像を超えるものでした。被害ができるだけ小さいものであることを祈るばかりです。これまでもこちらのブログで何度かお伝えしていますように、常用薬などの備蓄は皆さん日ごろから気を配っておきましょう。「天災は忘れたころにやってくる」(寺田寅彦の言葉だと言われています)です。

ホームページを開設し、改めててんかん外来を標榜してからだいたい1年ぐらいが経ちました。昨年4月から当院をてんかんの診療を希望して受診した方の統計をお示ししたいと思います。

2014年4月~2015年9月14日現在までの約1年半に、てんかんの診療を希望して当院を受診した患者さんは179名で、男性94名、女性85名でした。

年齢は6歳~79歳で、平均年齢は31.5±14.5歳(中央値27歳)で、10歳未満:4名、10代:31名、20代:62名、30代:46名、40代:15名、50代:8名、60代:7名、70代:6名となっており、お若い方が多いものの、お子さんからご高齢の方までご相談をいただきました。

患者さんの居住地別にみますと、大阪市内の方が80名、市外大阪府の方が69名で大半でしたが、兵庫県の方が13名、奈良県4名、愛知県3名、三重県3名、徳島県2名、その他の都府県5名と遠方からもお越しいただきました。

受診後の診断は1989年の国際てんかん分類を用いますと、症候性部分てんかん
92名(うち前頭葉てんかんあるいは疑いが26名、側頭葉てんかんあるいは疑いが36名)、特発性全般てんかん30名、特発性部分てんかん3名、症候性全般てんかん2名、進行性ミオクローヌスてんかん1名、詳細不明、あるいは分類不能のてんかんが16名と、てんかん患者さんは144名でした。ほか診断はつかないがてんかんが疑われる方が5名おられました。

残りの30名はてんかんではない、と診断した方で、立ちくらみなどによる失神&疑いが8名、心因性非てんかん発作&疑いが7名、発作性運動誘発性ジスキネジアという不随意運動の方が2名、薬物やアルコールを急激に止めたことによる離脱けいれん&疑いの方が2名などとなっていました。中には長年てんかんとして服薬しておられた方が、てんかんではないとの診断から薬を中止でき、とても喜んでいた方もいらっしゃいます。

てんかん外来をしていますと、一定数のてんかんではない方が受診されます。今回の30名/179名=約17%というのは静岡のてんかんセンターの外来で、同様に統計を調べた際にも同じような数字でしたので、おそらくてんかんを専門にしておられる先生のところを受診される方の割合は同じようなものなのでしょうね。


病院からの紹介状をお持ちになった方は98名で、ない方は81名でした。紹介状をお持ちでない方の多くは、インターネット経由で当院のことを知った、という方でした。当院受診前にすでに通院しておられた方では、神経内科の先生にかかっていた方が63名と多く、小児科、脳神経外科がそれぞれ32名、精神科31名とその他はほぼ同数でした。

小児科に通院されていた方のうち12名は20歳以上のいわゆる成人でした。これは「小児科からの移行期医療問題」として知られる現象で、小児期からの慢性疾患の患者さんが、成人になっても小児科に通院を続ける、あるいは続けざるをえなくなることを指します。てんかんについても、小児特有のてんかん症候群などは成人を担当する先生にはなじみがあまりないこともあり、なかなかスムーズに小児科から成人を担当する診療科へと移行することが難しい、という現実があることはここで診療していても実感できます。当院はできるだけそうした方のうけ皿になっていきたいと考えております。

どうしても初診の際にはお話を詳しくお伺いしないといけませんので、あまりに予約が混み合っている日時には予約をお取りできないことがありご迷惑をおかけしておりますが、これからも一人一人の患者さんを丁寧に診察し、確実な診断から治療を考えていくようにしたいと思います。

3 件のコメント:

  1. いつも丁寧に話を聞いていただき、ありがとうございます。小出さんを紹介していただき、本当に良かったと思います。著者も興味深く読ませていただきました。

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  2. いつも丁寧に話を聞いていただき、ありがとうございます。小出さんを紹介していただき、本当に良かったと思います。著者も興味深く読ませていただきました。

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  3. あおっぺ様:コメントをいただいていたことに気づきませんで、お返事が遅くなり申し訳ありませんでした。ありがとうございます。これからもお力になれるように頑張りたいと思います。

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