2015年2月25日水曜日

自立支援医療は利用されていますか?

寒さも少し和らいだかなと思ったところ、今週末からはまた寒い、という予想がされているようです。インフルエンザA型の初診患者さんはさすがに減ってきておりますが、体調管理が難しい、という点では気温の変動が大きいこれからも注意が必要ですね。

当院をてんかんで初診された患者さんが、昨年4月からの約10か月間で90名となりました。病院からのご紹介も多い一方で、ご自分でインターネットから当院のてんかん専門外来を検索して受診される方も増えてきております。

こうした方々の初診時には情報をまとめておくために問診票を活用しています。そのなかに「これまでに利用していた制度」という項目を設けているのですが、てんかんの方の医療費の助成制度について何も聞いたことがない、という方が(長年治療を受けていた方でも)よくいらっしゃいます。利用できそうな制度についてご紹介すると、「なんで今まで紹介してもらえなかったのか」と怒る方もいらっしゃいますね。基本的にはどの制度も患者さんが診断書をもらって自分で申請する形になっていますので、制度の存在を知らなければ、利用することを思いつきすらしないまま日が過ぎていく、ということになってしまいます。我々は適切に必要な方に情報を提供する必要があると考えます。

なかでも自立支援医療は重要性が高い制度です。「てんかん」という診断があって通院が必要な状態があれば、発作の頻度や程度は関係なくだれでも利用できます。大阪市内の方であれば15歳まではこども医療の助成制度がありますので必要ありませんが、16歳以上であれば、どなたでもてんかんについての外来通院医療費が3割→1割に軽減されます。てんかんのように長年にわたって治療を続ける必要があることが多い病気をお持ちの方にはかなり利用価値が高い制度になっています。現在利用しておられない方がいらっしゃいましたら、担当の先生にぜひ一度利用の可否について(てんかんであれば利用できない状況は基本的にはありませんが)質問してみましょう。

自立支援医療にはいくつか対象となる患者さんによって種類があり、更生医療や育成医療などもありますが、てんかんが関係するのは「精神通院医療」です。てんかんは長年精神科の先生が診療を担当していたという歴史があって、利用する制度の多くは他の精神疾患(たとえばうつ病など)と重複する部分があります。現在は神経内科や脳神経外科に通院している患者さんのほうが多いので、精神科の先生が担当する場面は少なくなりつつありますが、制度としてはそうした名残がある、というところでしょうか。ただ、てんかんの患者さんに関しては担当の専門科にかかわらず、自立支援医療や(こちらは発作頻度や合併症の有無によって対象になるかどうかが決まりますが)精神保健福祉手帳などの診断書を記載できることになっています。

繰り返しになりますが、現在自立支援医療を含めてんかん患者さんが利用できる制度について何も聞いたことがない、という方がいらっしゃいましたら、ぜひ担当の先生に一度相談してみましょう。

2015年2月14日土曜日

花粉症と薬の飲み合わせ

本日もそうですが最近になり、「花粉症の薬を下さい」とおっしゃる方が増えてきております。スギ花粉にアレルギーをお持ちの方はそろそろ嫌な季節が来つつあるようですね。本日おみえの方からは「花粉症の薬と、今飲んでいるてんかんの薬の飲み合わせは大丈夫ですか?」と質問がありました。

抗てんかん薬を服用している方について、飲み合わせはよく話題にあがるポイントですが、基本的な考え方としては「注意したほうがいいものはあるけど、絶対に飲んではいけないものはさほどない」ということになるかと思います。

抗てんかん薬を服用している方で他の薬を服用する際に問題になるパターンは二つありまして、

①その薬がてんかんの薬との相互作用があるので摂取しないほうがいい
②薬とは関係なく、てんかんをお持ちの方は服用する場合は発作が悪化しないかどうかなど注意したほうがいい

というパターンですね。

①はたとえばデパケンやセレニカなどのバルプロ酸を服用している方は、カルバペネム系の抗生物質を使用しないほうがいいことが知られています。これはこのタイプの抗生物質がバルプロ酸の血中濃度をかなり低下させるために、発作が起こりやすくなることがあるためです。実際にバルプロ酸を服用しているてんかんの方が、肺炎で入院してメロペンを点滴したら発作が群発した、といった方をみたことがあります。経口避妊薬などもある種の抗てんかん薬の血中濃度を極端に下げてしまいます。抗生物質などは他に選択肢がたいていありますので、普段のお医者さんにかかる場合には服用しているお薬をきちんと申告することでこうした状況を避けることができます。

②はいわゆる発作の閾値を下げる(発作を起こしやすくする)薬です。抗うつ薬の一部や、抗生物質の一部など多くの薬にそうした作用があることが知られています。花粉症の薬としてよく用いられる抗ヒスタミン薬などにもそうした作用があると言われています。

ただ、②の場合は他に選択肢がない場合もあります。抗ヒスタミン薬などはどの薬にもてんかんの方には注意するように書かれていますが、では使わないでいられるか、といえば、ないと困る方がたくさんいますので使用しないわけにはいかないこともあります。こうした場合はできるだけ眠気などてんかん発作を悪化させる要因が出にくい薬を選択します。ただ、どの薬が眠気が少ないか、というのもおなじ抗ヒスタミン薬でもかなり個人差がありますので、使ってみないとわからないというのも事実かと思います。

では使って実際に悪いことが起こるか、というと、ほとんどの場合は何ら問題ありません。花粉症の症状が悪くて鼻閉で夜も眠れない、といったことがあれば、薬の影響よりもむしろ花粉症の症状が悪いことのほうが影響が大きいでしょう。このあたりのバランスを考えたさじ加減が大切です。

服用している薬との飲み合わせや「この薬飲んでもいいのかな?」というようなことがあれば、いつでもご連絡頂ければお答えいたしますが、基本原則の「注意したほうがいいものはあるけど、絶対に飲んではいけないものはさほどない」を頭において、不安になりすぎないようにしましょう。

2015年2月3日火曜日

寒さ厳しき折・・・

今日も朝から寒いですね。風があるので、体感気温は実際の温度よりもずっと低く感じられます。インフルエンザA型の流行もそろそろピークを越えつつあるようですが、まだまだ体調を崩しやすい時期ですので、十分お気を付けください。

当院の庭では梅がちらほらと咲き始めています。