2014年10月29日水曜日

当院かいわい:青蓮寺・月江寺

当院の一つ南の通りを西へ、夕陽丘学園のほうへ歩いていきますと、まず右側に月江寺、次の角には青蓮寺があります。青蓮寺は浄瑠璃作者として有名な竹田出雲の墓所があることでも有名ですね。手前の月江寺にも三味線塚があったりと、このあたりには上方芸能に関する史跡も数多く残されています。残念ながらこの辺りのお寺は大阪大空襲の際に焼失したところも多く、もし空襲がなかったら、どのような光景が広がっていたのかなと空想をふくらませています。


2014年10月14日火曜日

増刷されました(てんかんが苦手な医師のための問診・治療ガイドブック)

先日発売されました「てんかんが苦手な医師のための問診・治療ガイドブック」ですが、ご好評をいただいており、第2刷に増刷されております。引き続きよろしくお願い申し上げます。

2014年10月6日月曜日

第48回日本てんかん学会学術集会

さる2014年10月2日から3日の2日間、第48回日本てんかん学会学術集会が東京京王プラザホテルにて開催されました。小出は3日朝のモーニングセミナーにて「成人の進行性ミオクローヌスてんかん」というテーマを主催者から頂戴し、講演を行いました。

進行性ミオクローヌスてんかんは、てんかん発作とミオクローヌスという手足が一瞬ぴくっと動くような不随意運動、運動失調(体のバランスが取れなくなったり、力はあるのに器用に使えなくなったりすること)、認知や知能の面での障害などを特徴とするてんかんです。この名前は大きな疾患のグループを示すもので、それぞれの症状の程度や経過などによって、さらにさまざまなタイプに分けられています。人種差があることも知られており、ウンベルリヒト・ルンドボルグ病というタイプのものはヨーロッパでは一般的ですが日本ではごくまれで、日本に多い歯状核赤核線条体ルイ体萎縮症はヨーロッパでは極めて珍しいタイプとされています。外来の初診患者さんの数が累計4万人に近づいている静岡てんかんセンターでも、進行性ミオクローヌスてんかんの患者さんはこれまでに疑いも含めても50人前後しかいないようです。

ただ患者さんはごく少ないのですが、きちんとこうした患者さんを見つけることで、その方の経過や治療への反応性などをある程度予想できるため、てんかんを診療する医師の知識としては非常に重要といえます。

私は静岡てんかん・神経医療センター在職中に10人前後の患者さんを診療させて頂きました。しかしなかなかこうした希少な疾患は医師も経験する機会が少なく、治療などの全体像を把握するのが難しくなっています。

今後は全国的にこうした患者さんの疾患についてのデータを登録し、治療の進歩につなげようとするシステムの構築が予定されています。治療に難渋されることも珍しくないこうした患者さんにとってよい治療などが見つかる第一歩になってほしいと願っています。

2014年9月30日火曜日

雑誌「薬局」に新規抗てんかん薬「ガバペン」の記事が掲載されました

南山堂から出版されている雑誌「薬局」に記事が掲載されました。新規抗てんかん薬「ガバペン」についてのメリット、デメリットを、とのことでしたので、書かせて頂きました。ガバペンはかつて全国の医療機関での大規模な市販後調査を行ったことがあり、効果や副作用について「てんかん研究」に論文として発表しています。眠気やふらつき以外の副作用が少ないのはこの薬の良いところですが、発作型によっては悪化のリスクなどもあり注意が必要です。薬剤師さんなどにぜひ手に取ってみて頂ければと思います。http://www.nanzando.com/journals/yakkyoku/916510.php

2014年9月17日水曜日

てんかんと失神

ずいぶん涼しくなりました。朝晩などは寒いと感じることもあります。みなさまも体調管理には十分お気を付けください。

最近、「意識がなくなった」ということでてんかんと診断され、通院していた方が相談に来られました。初めて意識をなくして以来、ずっとてんかんの薬を服用しているが、効果があるのかどうかわからないし、自分は本当にてんかんなのでしょうか?という御質問がありました。

てんかん全体でみると、60-70%の方は抗てんかん薬を服用していれば発作が起こらなくなると言われています。実際に薬を服用していても、何も起こらないことが治療効果であるために、薬の効果を実感するのが難しいことは事実です。この方もそういう方なのかなと最初は思いました。

しかし、よくお話をお伺いすると、「お風呂に入っていて、出ようとしたらちょっと立ちくらみみたいにくらっとしたので、ちょっと休んで、もう一回立ち上がって出ようとしたら意識がなくなって倒れた」とのことでした。さらに詳しく症状を聞くと、意識の消失時間はだいたい5-10秒、気がついたときには床に倒れていて、心臓がどきどきと激しく動悸を打っているのを感じたとおっしゃいます。また「もともと中学生ぐらいの頃は、長い時間立ってると倒れそうになることがあった」といったお話もありました。

こうしたお話は、てんかんによる意識障害よりも、起立性調節障害などによる失神の可能性を強く示唆する病歴です。脳波検査はこれまでも異常を指摘されたことがない、とのことでしたが、実際に異常はありませんでした。ないはずです。まず間違いなくてんかんではなく、失神だったのです。

よくてんかんは「倒れる」というイメージがありますが、いきなり倒れる発作だけしかない、というのはむしろ例外的です。またそうした発作の回数が少ない(あっても年単位)というのはてんかんよりも失神によくある病歴です。意識消失の時間が短いことは欠神発作などのてんかん発作でもあり得ますが、そうした発作では倒れることは少ないです。入浴後であるとか排尿後、飲酒後といった状況は失神が起こりやすい状況です。発作後に動悸や発汗が顕著にみられる、といった症状もてんかんよりも失神を強く示唆します。

てんかんは基本的に”症候群”と言われる、年齢や発作症状、原因、脳波検査結果などの集合体で診断がつくものです。そのどれか一つだけで、特に脳波検査結果だけで診断がつくようなものではありません。この患者さんの症状や病歴はてんかん症候群では矛盾するものになる、ということですね。

逆に失神の側から見ると、実は失神というのはよくけいれんを伴います。ある研究では90%の失神は何らかのけいれんを伴っていた、という話もあります(Lempert et,al. Syncope: A videometric analysis of 56 episodes of transient cerebral hypoxia Ann Neurol. 1994 Aug;36(2):233-7 )つまり「いきなり倒れて、けいれんしていました」という話だけでは、てんかんか失神かは判断できないということになります。

てんかんの診断で一番大切なのは問診です。これは何も恰好をつけているわけではなく、外来の、それも初診では問診しか診断のしようがないからです。脳波検査に異常がないてんかん、というのは珍しいことではありませんし、問診で診断がつくことはあっても、脳波検査のみで診断がつくことはありません。この点はあまりよく理解されていないのではないかと思います。

患者さんにはてんかんではない可能性が高いので、徐々に薬を減らして、中止を考えていきましょうと話しました。同じようなことはてんかんセンターでもよく経験しました。静岡てんかん・神経医療センターの患者さんについて調べてみたことがありますが、初診の2割弱はてんかんではない疾患がてんかんやてんかん疑いと診断されて受診に至っています。これはほとんどが問診の不足によるものや脳波の異常を見誤ったもの(異常がないものを異常と捉え、それがてんかんの診断根拠になった)によると考えられます。

私が問診をすると、脳波検査の前後にわたることもありますが、だいたい30分~
1時間ぐらいはかかります。もともとてんかんの診断に必要な問診というのはそうしたものなのですね。今後も問診の重要性などについては様々な場面で訴えていこうと思っています。

2014年8月29日金曜日

てんかんを公表している著名人⑧Wally Lewis(Rugby league player, 1959~)

てんかんの患者さんの病状の経過は、てんかんのタイプによって様々です。小児期に発症して、大人になれば自然に発作が起こらなくなる、”治ってしまう”てんかんもあれば、生涯にわたって治療が必要となる方がいます。てんかんの患者さんの6-7割程度は抗てんかん薬を服用することで発作が消失すると言われていますが、一方でなかなか薬物治療だけでは発作が止まらない方もいらっしゃいます。こうした場合、薬物治療以外の治療の可能性を検討していくことになります。その一つがてんかん外科手術です。てんかん外科手術はてんかん発作が起こる原因となっている脳の一部分を切除したり、脳の興奮が大きくなりにくくするように脳の一部をカットしたりする、といったことが行われます。もちろん後遺障害が残ることなどを避けるために、外科手術が可能かどうかを慎重に見極めるために検査を行います。てんかんのタイプによっては、発作を消失させることが高い確率で期待できます。当院ではもちろん外科手術は行っていませんが、手術が必要かどうか、あるいは可能かどうかを検討するために近隣、あるいは静岡などのてんかんセンターと連携して診療を行うことはよくあります

みなさん”ラグビー”というスポーツはおそらくご存じでしょうが、”ラグビーリーグ”というスポーツはいかがでしょう?人数がラグビーが15人であるのに対して、リーグは13人であったり、ラグビーでフォワードが組み合うスクラムがリーグにはほとんどなかったりと、ルールも少し違うのですが、ラグビー強国であるオーストラリアなどではむしろラグビーよりもラグビーリーグのほうが人気があったりします。Wally Lewis(1959~)はラグビーリーグの伝説的な名選手で、”The King”"Emperor of Lang Park"と称され、オーストラリア代表としても1981年~1991年までの10年間にわたって活躍しました。彼は引退後2006年のTV出演中に意識が曇る発作を生じ、2007年にてんかん外科手術を受けました。発作は消失し、以後は再びTVのスポーツコメンテーターとして活躍しています。現在はてんかんに対する啓発活動を他の患者さんと一緒に行っておられます。また娘さんに聴覚障害があることから、聴覚障害者団体の支援者としても活動されています。
(47秒のtackleは必見です)