2016年9月29日木曜日

日本てんかん学会学術集会出席による副院長休診のお知らせ

2016年10月5日午後から10月9日まで、副院長の外来は日本てんかん学会学術集会出席のため休診とさせていただきます。院長の外来は通常どおりとなっております。この間メールへの返信もできません。受診・ご相談の際にはどうぞご留意ください。

2016年9月21日水曜日

てんかんと映画 (第50回日本てんかん学会学術集会 市民公開イベント)

先日からご紹介していますが、10月6日~9日静岡グランシップで第50回日本てんかん学会学術集会が行われます。先日の「動物のてんかん」と同じく、ユニークな市民公開イベントの一つがこの「てんかんと映画」と題されたシネマラソンです。

これは期間中、てんかんが映画の中に取り上げられている、またはそれが映画のテーマそのものである、といった映画を連続で上映する、というイベントで、これも過去に例のない興味深いイベントだと思います。

上映される映画について取り仕切っている若手の先生に問い合わせさせていただいたところ、以下のような映画が上映されるそうです。先日当ブログでご紹介した「First,Do No Harm(邦題:誤診)」や、「レインマン」「静かな生活」のように知っている、見たことがある映画もありましたが、他はタイトルも含め全く知らない映画ばかりです。静岡のてんかんセンターにてんかんが取り上げられている映画を収集している先生がおられ、主にはその先生に教えてもらった、とのことでした。

1日目
卵
静かな生活
クレオパトラ
レインマン

2日目
誤診「First,Do No Harm」
コントロール
ミルク
英国王室 もうひとつの秘密

3日目
恋のためらい
蜂蜜
奈緒ちゃん

またそれぞれの映画もご紹介してみたいと思います。ちなみに映画収集担当の若手の先生のお勧めは「英国王室 もう一つの秘密」だそうです。

2016年9月10日土曜日

当院かいわい:光傳寺と淡嶋明神

当院南の学園坂を下り、松屋町筋を北に50mほどいくと、光傳寺があります。元和5年(1619年)開基の浄土宗のお寺だそうです。門前に「鯛屋貞柳墓所」という碑が建っています。江戸時代の狂歌師だそうですが知らなかったので調べてみますと、和菓子店で有名な虎屋さんのHPに面白いエピソードがいくつも出ていました。和菓子屋さんだったのですね。

鯛屋貞柳と玉露霜(とらやHPより引用)
https://www.toraya-group.co.jp/terms/copyright/

こちらの境内には淡嶋明神が祀られています。お寺の境内に神社さんがあるので、何かいわれがあるのかと思いますと、これも門前に掲示がされていました。伝説とはいえ、神様が婦人病で離縁、というのはひどいですね。ただこの謂れについては住吉大社の社領が淡嶋にあったから後世の人が後付けした、という話もあるようですね。実際に加太の淡嶋神社本社にはこの謂れは取り上げられていません。

春になるとここの境内は桜がとてもきれいです。来春にはぜひ写真で皆さんにご紹介したいと思います。




2016年9月1日木曜日

動物のてんかん (第50回日本てんかん学会学術集会 市民公開イベント)

10月の第50回日本てんかん学会学術集会では、色々と興味深い取り組みが行われる予定になっておりますが、「動物のてんかん」と題した市民公開イベントもその一つです。


これまで日本てんかん学会では当然ですがヒトのてんかんが主な話題で、動物のてんかんというとマウスなどの実験てんかんの話しかありませんでした。


今回はそうではなく、本当に動物のてんかんについて、ペットなど動物のてんかんの診療の第一線で活躍されている獣医学者の先生方が、診断や治療について様々なお話をしてくださるとうかがっています。


インターネット上で「てんかん」について検索しますと、病状についての相談がかなりヒットしてきます。御自分やご家族のてんかんについての相談がもちろん多いのですが、ペットのてんかんについての相談もよくあります。獣医さんの中でもてんかんに詳しい先生はさほど多くはないようで、みなさん色々と苦労されているようです。


ペットの中でも、犬種にもよるようですが、イヌはよくてんかんを発症します。ネコやトリのてんかんもあります。本当にてんかん発作かどうかはわかりませんが、ネット上の動画サイトでは魚やヘビ!の発作、というものもみつかります。脳を持っている生物はどんな生物でもてんかんを発病しうる、というのも本当なのかもしれませんね。


演者の先生のお一人は存じ上げていますが、とても熱心に動物のてんかんの研究をしておられます。興味深い話が聞けるものと今から楽しみにしています。ペットを飼っておられる方もそうでない方もぜひご参加ください。


第50回日本てんかん学会学術集会 市民公開イベント
http://www.c-linkage.co.jp/jes50/contents/event.html

2016年8月26日金曜日

てんかんと精神症状を考える会

8月25日(木)大阪市内にて、「てんかんと精神症状を考える会」で座長と講演の演者を務めさせていただきました。

まず最初に、てんかんを診療する精神科の先生は減っている、また今後も減っていくことが予想される、というデータをてんかん学会の科目別医師の会員数と、会員の平均年齢からお示ししました。てんかん学会の精神科学会員の年齢ピークは50-60代にあり、神経内科の30-40代がピークにあるのとは対照的です。これが世に言う「精神科のてんかん離れ」ですね。会場は明らかに若手の先生も含めて精神科の先生で満席でしたが・・・。

その後はこれまでに経験した精神症状を呈する患者さんについていろいろとお話ししました。熱心にメモをとる先生もおられたので、興味は持っていただけたのではないかと思います。

こうした会をとおして、てんかんに興味を持ち、てんかんを専門にするためにてんかんセンター等で研修を受ける、といった先生が少しでも増えればいいな・・・と考えつつ帰路につきました。

2016年8月24日水曜日

市民公開講座のお知らせ

きたる9月11日(日)14時より、堺市産業振興センターにおきまして、市民公開講座の演者を務めさせていただきます。私の講演は「てんかん患者さんが利用できる制度」となっております。

てんかんで通院が必要な方は全員が自立支援医療の対象となり、医療費が軽減されます。具体的に言うと通常の健康保険をお持ちの成人の患者さんであれば、外来の医療費の3割負担が1割になります。てんかんの患者さんは抗てんかん薬の内服を長期に必要とする方も多いので、医療費が1/3以下で済むこの制度はとても利用価値が高いです。特に最近次々と発売される新規抗てんかん薬は旧来の薬に比べて価格が高く、この制度の利用価値はますます高まっています。

しかし、当院の外来を初診される方の中には、これまで何年も治療を受けてきたにもかかわらず、自立支援医療について「初めて聞きました・・・・」という方もよくいらっしゃいます。中には怒りだす方もいます。「そんなんだれも教えてくれませんでした!」これだけ医療に関する情報がネットなどにあふれている現在においても、自分にとって有益な情報をきちんと手に入れることは難しいのだなあ・・・・と実感します。

今回の市民公開講座は時間に限りがあるため詳しい説明は難しいのですが、医療費の軽減、就労の支援、生活の支援など、てんかんの患者さんが必要に応じて受けることができる制度についてご説明させて頂きます。他の先生方のご講演もきっと参考になる情報が沢山あると思います。事前申し込みは必要ありませんので、興味をお持ちの方はどうぞご参加ください。

2016年8月22日月曜日

てんかんと妊娠④-B バルプロ酸の知的発達への影響について

B.胎児の知的発達への影響

抗てんかん薬の胎児への影響、というと、ブログの前項(2016/2/15)でもご説明しましたように、胎児奇形が長年の懸案でした。この点ではもっとも影響が懸念され、かつ服用している患者さんが多いという点でバルプロ酸(VPA)が注目されました。しかし、バルプロ酸に関しては、用量が一定量以下なら他の抗てんかん薬の催奇形性と大きく変わるところはないというデータもあり、実際にVPAを服用しながらの妊娠・出産は珍しいものではありませんでした(また、それで大きな問題を感じることもありませんでした)

しかし2013年、Meadorらが発表した論文 ( Meador KJ Lancet Neurol.2013;12:244-52)は、この状況について別の視点からの注意を促し、世界のてんかんを診療する医師に大きなインパクトを与えました。対象は数十例と多くはありませんが、一定量(1000㎎)以上VPAを服用している妊婦さんから出生したお子さんは、他の抗てんかん薬を服用している妊婦さんから生まれたお子さんに比べ、6歳時の知能指数(IQ)が有意に低いというものでした。このことはそれ以前からなんとなく疑われてはいましたが、はっきりとデータとして発表したのはこの論文が初めてといってよいと思います。

数字にするとたとえばカルバマゼピンを服用していた妊婦さんのお子さんのIQの平均は106であったのに対し、VPAを服用していた妊婦さんのお子さんのIQは98でした。この関係はVPAの用量が多いと強くみられ、用量が1000㎎以下では他の抗てんかん薬との有意な差は認められませんでした。

どの薬剤を服用している群でも、平均のIQそのものは異常値ではありませんし、解釈には慎重さを要しますが、この論文により、VPAの用量が多いことは、催奇形性の面だけではなく、児の認知機能にも良くない影響がありうるということは示されたといって良いでしょう。そして、これまでよりもさらにVPAを服用しながらの妊娠に対してのハードルが上がったとも言えます。

これらの報告を受け、FDA(アメリカ食品医薬品局)のVPAに関する勧告も、年を追うごとに変化していきました。

2009年12月
VPAにより二分脊椎その他大奇形のリスクが上昇することを患者に説明するべきである。
↓
2011年6月
VPAにより児の認知機能が低下するリスクがあることを、患者に説明するべきである。
↓
2013年5月
(VPAにより児の認知機能低下のリスクがあるので)てんかんまたは双極性障害の妊婦には他の治療薬で十分な症状コントロールができなかった場合や、忍容性がない場合にのみ、VPAを処方すべきである。

もちろん、VPAは特発性全般てんかんの第一選択薬として効果の面では確固たる地位があり、妊娠中の発作(特にけいれん発作)は妊娠経過にそれ自身が良い影響を与えないことも考えると、(FDAの勧告のとおり)どうしてもVPAを服用しながら妊娠せざるを得ない場合はやはりあります。いくらレベチラセタムやラモトリギンがあったとしても、それでは発作がコントロールできない場合はやはりあるのです。

そうした方に対しては、用量を適切なレベルに減らし、葉酸の投与を行えば(上記のMeadorの論文でも、葉酸の服用は児の認知機能を高める可能性が示唆されています)通常の妊娠・出産ができると説明しています。

次回は(これもやはり残念ながらVPAに関連するのですが)、もう一歩踏み込んだ最近の注目すべき問題点についてご説明したいと思います。