10月の第50回日本てんかん学会学術集会では、色々と興味深い取り組みが行われる予定になっておりますが、「動物のてんかん」と題した市民公開イベントもその一つです。
これまで日本てんかん学会では当然ですがヒトのてんかんが主な話題で、動物のてんかんというとマウスなどの実験てんかんの話しかありませんでした。
今回はそうではなく、本当に動物のてんかんについて、ペットなど動物のてんかんの診療の第一線で活躍されている獣医学者の先生方が、診断や治療について様々なお話をしてくださるとうかがっています。
インターネット上で「てんかん」について検索しますと、病状についての相談がかなりヒットしてきます。御自分やご家族のてんかんについての相談がもちろん多いのですが、ペットのてんかんについての相談もよくあります。獣医さんの中でもてんかんに詳しい先生はさほど多くはないようで、みなさん色々と苦労されているようです。
ペットの中でも、犬種にもよるようですが、イヌはよくてんかんを発症します。ネコやトリのてんかんもあります。本当にてんかん発作かどうかはわかりませんが、ネット上の動画サイトでは魚やヘビ!の発作、というものもみつかります。脳を持っている生物はどんな生物でもてんかんを発病しうる、というのも本当なのかもしれませんね。
演者の先生のお一人は存じ上げていますが、とても熱心に動物のてんかんの研究をしておられます。興味深い話が聞けるものと今から楽しみにしています。ペットを飼っておられる方もそうでない方もぜひご参加ください。
第50回日本てんかん学会学術集会 市民公開イベント
http://www.c-linkage.co.jp/jes50/contents/event.html
2016年9月1日木曜日
2016年8月26日金曜日
てんかんと精神症状を考える会
8月25日(木)大阪市内にて、「てんかんと精神症状を考える会」で座長と講演の演者を務めさせていただきました。
まず最初に、てんかんを診療する精神科の先生は減っている、また今後も減っていくことが予想される、というデータをてんかん学会の科目別医師の会員数と、会員の平均年齢からお示ししました。てんかん学会の精神科学会員の年齢ピークは50-60代にあり、神経内科の30-40代がピークにあるのとは対照的です。これが世に言う「精神科のてんかん離れ」ですね。会場は明らかに若手の先生も含めて精神科の先生で満席でしたが・・・。
その後はこれまでに経験した精神症状を呈する患者さんについていろいろとお話ししました。熱心にメモをとる先生もおられたので、興味は持っていただけたのではないかと思います。
こうした会をとおして、てんかんに興味を持ち、てんかんを専門にするためにてんかんセンター等で研修を受ける、といった先生が少しでも増えればいいな・・・と考えつつ帰路につきました。
まず最初に、てんかんを診療する精神科の先生は減っている、また今後も減っていくことが予想される、というデータをてんかん学会の科目別医師の会員数と、会員の平均年齢からお示ししました。てんかん学会の精神科学会員の年齢ピークは50-60代にあり、神経内科の30-40代がピークにあるのとは対照的です。これが世に言う「精神科のてんかん離れ」ですね。会場は明らかに若手の先生も含めて精神科の先生で満席でしたが・・・。
その後はこれまでに経験した精神症状を呈する患者さんについていろいろとお話ししました。熱心にメモをとる先生もおられたので、興味は持っていただけたのではないかと思います。
こうした会をとおして、てんかんに興味を持ち、てんかんを専門にするためにてんかんセンター等で研修を受ける、といった先生が少しでも増えればいいな・・・と考えつつ帰路につきました。
2016年8月24日水曜日
市民公開講座のお知らせ
きたる9月11日(日)14時より、堺市産業振興センターにおきまして、市民公開講座の演者を務めさせていただきます。私の講演は「てんかん患者さんが利用できる制度」となっております。
てんかんで通院が必要な方は全員が自立支援医療の対象となり、医療費が軽減されます。具体的に言うと通常の健康保険をお持ちの成人の患者さんであれば、外来の医療費の3割負担が1割になります。てんかんの患者さんは抗てんかん薬の内服を長期に必要とする方も多いので、医療費が1/3以下で済むこの制度はとても利用価値が高いです。特に最近次々と発売される新規抗てんかん薬は旧来の薬に比べて価格が高く、この制度の利用価値はますます高まっています。
しかし、当院の外来を初診される方の中には、これまで何年も治療を受けてきたにもかかわらず、自立支援医療について「初めて聞きました・・・・」という方もよくいらっしゃいます。中には怒りだす方もいます。「そんなんだれも教えてくれませんでした!」これだけ医療に関する情報がネットなどにあふれている現在においても、自分にとって有益な情報をきちんと手に入れることは難しいのだなあ・・・・と実感します。
今回の市民公開講座は時間に限りがあるため詳しい説明は難しいのですが、医療費の軽減、就労の支援、生活の支援など、てんかんの患者さんが必要に応じて受けることができる制度についてご説明させて頂きます。他の先生方のご講演もきっと参考になる情報が沢山あると思います。事前申し込みは必要ありませんので、興味をお持ちの方はどうぞご参加ください。
てんかんで通院が必要な方は全員が自立支援医療の対象となり、医療費が軽減されます。具体的に言うと通常の健康保険をお持ちの成人の患者さんであれば、外来の医療費の3割負担が1割になります。てんかんの患者さんは抗てんかん薬の内服を長期に必要とする方も多いので、医療費が1/3以下で済むこの制度はとても利用価値が高いです。特に最近次々と発売される新規抗てんかん薬は旧来の薬に比べて価格が高く、この制度の利用価値はますます高まっています。
しかし、当院の外来を初診される方の中には、これまで何年も治療を受けてきたにもかかわらず、自立支援医療について「初めて聞きました・・・・」という方もよくいらっしゃいます。中には怒りだす方もいます。「そんなんだれも教えてくれませんでした!」これだけ医療に関する情報がネットなどにあふれている現在においても、自分にとって有益な情報をきちんと手に入れることは難しいのだなあ・・・・と実感します。
今回の市民公開講座は時間に限りがあるため詳しい説明は難しいのですが、医療費の軽減、就労の支援、生活の支援など、てんかんの患者さんが必要に応じて受けることができる制度についてご説明させて頂きます。他の先生方のご講演もきっと参考になる情報が沢山あると思います。事前申し込みは必要ありませんので、興味をお持ちの方はどうぞご参加ください。
2016年8月22日月曜日
てんかんと妊娠④-B バルプロ酸の知的発達への影響について
B.胎児の知的発達への影響
抗てんかん薬の胎児への影響、というと、ブログの前項(2016/2/15)でもご説明しましたように、胎児奇形が長年の懸案でした。この点ではもっとも影響が懸念され、かつ服用している患者さんが多いという点でバルプロ酸(VPA)が注目されました。しかし、バルプロ酸に関しては、用量が一定量以下なら他の抗てんかん薬の催奇形性と大きく変わるところはないというデータもあり、実際にVPAを服用しながらの妊娠・出産は珍しいものではありませんでした(また、それで大きな問題を感じることもありませんでした)
しかし2013年、Meadorらが発表した論文 ( Meador KJ Lancet Neurol.2013;12:244-52)は、この状況について別の視点からの注意を促し、世界のてんかんを診療する医師に大きなインパクトを与えました。対象は数十例と多くはありませんが、一定量(1000㎎)以上VPAを服用している妊婦さんから出生したお子さんは、他の抗てんかん薬を服用している妊婦さんから生まれたお子さんに比べ、6歳時の知能指数(IQ)が有意に低いというものでした。このことはそれ以前からなんとなく疑われてはいましたが、はっきりとデータとして発表したのはこの論文が初めてといってよいと思います。
数字にするとたとえばカルバマゼピンを服用していた妊婦さんのお子さんのIQの平均は106であったのに対し、VPAを服用していた妊婦さんのお子さんのIQは98でした。この関係はVPAの用量が多いと強くみられ、用量が1000㎎以下では他の抗てんかん薬との有意な差は認められませんでした。
どの薬剤を服用している群でも、平均のIQそのものは異常値ではありませんし、解釈には慎重さを要しますが、この論文により、VPAの用量が多いことは、催奇形性の面だけではなく、児の認知機能にも良くない影響がありうるということは示されたといって良いでしょう。そして、これまでよりもさらにVPAを服用しながらの妊娠に対してのハードルが上がったとも言えます。
これらの報告を受け、FDA(アメリカ食品医薬品局)のVPAに関する勧告も、年を追うごとに変化していきました。
2009年12月
VPAにより二分脊椎その他大奇形のリスクが上昇することを患者に説明するべきである。
↓
↓
2013年5月
(VPAにより児の認知機能低下のリスクがあるので)てんかんまたは双極性障害の妊婦には他の治療薬で十分な症状コントロールができなかった場合や、忍容性がない場合にのみ、VPAを処方すべきである。
もちろん、VPAは特発性全般てんかんの第一選択薬として効果の面では確固たる地位があり、妊娠中の発作(特にけいれん発作)は妊娠経過にそれ自身が良い影響を与えないことも考えると、(FDAの勧告のとおり)どうしてもVPAを服用しながら妊娠せざるを得ない場合はやはりあります。いくらレベチラセタムやラモトリギンがあったとしても、それでは発作がコントロールできない場合はやはりあるのです。
そうした方に対しては、用量を適切なレベルに減らし、葉酸の投与を行えば(上記のMeadorの論文でも、葉酸の服用は児の認知機能を高める可能性が示唆されています)通常の妊娠・出産ができると説明しています。
次回は(これもやはり残念ながらVPAに関連するのですが)、もう一歩踏み込んだ最近の注目すべき問題点についてご説明したいと思います。
抗てんかん薬の胎児への影響、というと、ブログの前項(2016/2/15)でもご説明しましたように、胎児奇形が長年の懸案でした。この点ではもっとも影響が懸念され、かつ服用している患者さんが多いという点でバルプロ酸(VPA)が注目されました。しかし、バルプロ酸に関しては、用量が一定量以下なら他の抗てんかん薬の催奇形性と大きく変わるところはないというデータもあり、実際にVPAを服用しながらの妊娠・出産は珍しいものではありませんでした(また、それで大きな問題を感じることもありませんでした)
しかし2013年、Meadorらが発表した論文 ( Meador KJ Lancet Neurol.2013;12:244-52)は、この状況について別の視点からの注意を促し、世界のてんかんを診療する医師に大きなインパクトを与えました。対象は数十例と多くはありませんが、一定量(1000㎎)以上VPAを服用している妊婦さんから出生したお子さんは、他の抗てんかん薬を服用している妊婦さんから生まれたお子さんに比べ、6歳時の知能指数(IQ)が有意に低いというものでした。このことはそれ以前からなんとなく疑われてはいましたが、はっきりとデータとして発表したのはこの論文が初めてといってよいと思います。
数字にするとたとえばカルバマゼピンを服用していた妊婦さんのお子さんのIQの平均は106であったのに対し、VPAを服用していた妊婦さんのお子さんのIQは98でした。この関係はVPAの用量が多いと強くみられ、用量が1000㎎以下では他の抗てんかん薬との有意な差は認められませんでした。
どの薬剤を服用している群でも、平均のIQそのものは異常値ではありませんし、解釈には慎重さを要しますが、この論文により、VPAの用量が多いことは、催奇形性の面だけではなく、児の認知機能にも良くない影響がありうるということは示されたといって良いでしょう。そして、これまでよりもさらにVPAを服用しながらの妊娠に対してのハードルが上がったとも言えます。
これらの報告を受け、FDA(アメリカ食品医薬品局)のVPAに関する勧告も、年を追うごとに変化していきました。
2009年12月
VPAにより二分脊椎その他大奇形のリスクが上昇することを患者に説明するべきである。
↓
2011年6月
VPAにより児の認知機能が低下するリスクがあることを、患者に説明するべきである。↓
2013年5月
(VPAにより児の認知機能低下のリスクがあるので)てんかんまたは双極性障害の妊婦には他の治療薬で十分な症状コントロールができなかった場合や、忍容性がない場合にのみ、VPAを処方すべきである。
もちろん、VPAは特発性全般てんかんの第一選択薬として効果の面では確固たる地位があり、妊娠中の発作(特にけいれん発作)は妊娠経過にそれ自身が良い影響を与えないことも考えると、(FDAの勧告のとおり)どうしてもVPAを服用しながら妊娠せざるを得ない場合はやはりあります。いくらレベチラセタムやラモトリギンがあったとしても、それでは発作がコントロールできない場合はやはりあるのです。
そうした方に対しては、用量を適切なレベルに減らし、葉酸の投与を行えば(上記のMeadorの論文でも、葉酸の服用は児の認知機能を高める可能性が示唆されています)通常の妊娠・出産ができると説明しています。
次回は(これもやはり残念ながらVPAに関連するのですが)、もう一歩踏み込んだ最近の注目すべき問題点についてご説明したいと思います。
2016年8月5日金曜日
医療総合サイトQlifeで「てんかんabc」が取り上げられています
暑い日が続きます。大阪も連日の猛暑で、毎日患者さんとの会話の第一声は「暑いですね~」です。
先日ご紹介したてんかんについて学ぶことができる情報サイト「てんかんabc」が、医療情報の総合サイトQlifeで取り上げられています。少しでも多くの方のお役に立てばと思います。
https://www.qlife.jp/square/healthcare/story58172.html
先日ご紹介したてんかんについて学ぶことができる情報サイト「てんかんabc」が、医療情報の総合サイトQlifeで取り上げられています。少しでも多くの方のお役に立てばと思います。
https://www.qlife.jp/square/healthcare/story58172.html
2016年7月21日木曜日
「高齢者てんかん」の講演をして思うこと
さる7月16日、大阪てんかん診療ネットワーク研究会で「高齢者てんかん」についてのお話をさせていただきました。
以前にもこのブログでご紹介したことがありますが、高齢者のてんかんは近年認知症との鑑別など、さまざまな点で注目されています。
現在日本では人口の4人に1人が65歳以上のいわゆる高齢者になります。2035年にはこれが3人に1人になることが予想されています。人口は減少が始まっており、就業者人口に占める高齢者の割合もどんどん高まると考えられます。年金支給開始年齢が現行よりさらに先送りされる可能性も示唆されており、高齢になった方が働く必要性もより高まっています。
一方、高齢になってからはじめててんかんを発病する方がとても多いことは以前にご紹介したとおりです。発症率からみると、70歳を過ぎると発症率は小児期よりも高くなります。よくてんかんは人口の1%ぐらいの有病率があると言われていますが、高齢者に限って言えば、この割合はさらに高くなります。この患者さんたちを適切に診断・治療し、通常の社会生活が送れるようにすることは、上記の高齢化がすすむ社会の中では、より重要になっていくと考えられます。
高齢者のてんかんでよく言われるのは、「診断も治療も難しい」ということです。これはある面では正しく、ある面では間違っています。
まず診断が難しいのは事実だと思います。高齢者発症のてんかんは発作の頻度が少ない事が多く、またけいれんなどの目立つ症状が少なく、少しボーっとするとか、様子がおかしいというぐらいにしか見えない症状が多い事が知られています。そのため容易に見逃されますし、よく言われることですが、認知症と間違って診断されたりします。また高齢者のてんかんは長時間発作が続きやすいという特徴もあり、これがさらに診断を難しくします。少しボーっとしたり上手くしゃべれないといったエピソードが長時間にわたって消長を繰り返しながら続いたりするので、あまり「発作」的な印象を持たれにくくなります。ですので、昔からこのような症状が頻繁にあるにもかかわらず、てんかんの診断がついたのはけいれんが起こってから、というのはよくある状況です。
一方、治療については、高齢発症のてんかんはとても治療がよく効く事が知られています。一般的な抗てんかん薬の用量の数分の一、といった量でも発作がぴたっと止まってしまいます。これは小児や通常の成人のてんかんとは全く違います。いわゆる難治てんかんは脳出血や脳挫傷の後遺症であるとかいう場合を除けばほとんどおられません。この点だけみれば、高齢者のてんかん治療は困難ではありません。
ふつうはてんかんの治療というとお薬を十分に使って発作を起こらないようにすることが重要ですが、高齢者に限って言えば、より少ない薬で発作を抑えることが可能です。これは副作用の点からとても重要でして、高齢者は眠気やふらつきなどの抗てんかん薬の副作用がとても出やすいです。その点からも少量で発作が抑えられる薬を探すことが大切になります。あまりこの点が意識されずに、通常のてんかん治療のように抗てんかん薬が処方され、ふらふらになってしまった、というお話はよく聞きます。テグレトールなら100mgとか、50mgを寝る前に1回とかでも止まる人もいるので、決して通常の開始用量で治療しないようにしたほうがいいですね。
高齢の方は服用している薬剤が多いとか、腎機能や肝機能が低下している事が多いので治療が難しい、といったこともよく言われますが、抗てんかん薬の選択や、ごく少量から治療するという基本さえ外さなければ、難治てんかんで治療に難渋するケースなどに比べれば、困難を感じる事はむしろ少ないですね。
つまり、治療にたどり着くことさえできればなんとかなることが多いので、あとは診断です。少し様子がおかしいな・・・というぐらいのことがとても大事です。高齢発症のてんかんはよくあるものですから、おかしいなと思ったらお近くの神経内科の先生などに相談してみましょう。
以前にもこのブログでご紹介したことがありますが、高齢者のてんかんは近年認知症との鑑別など、さまざまな点で注目されています。
現在日本では人口の4人に1人が65歳以上のいわゆる高齢者になります。2035年にはこれが3人に1人になることが予想されています。人口は減少が始まっており、就業者人口に占める高齢者の割合もどんどん高まると考えられます。年金支給開始年齢が現行よりさらに先送りされる可能性も示唆されており、高齢になった方が働く必要性もより高まっています。
一方、高齢になってからはじめててんかんを発病する方がとても多いことは以前にご紹介したとおりです。発症率からみると、70歳を過ぎると発症率は小児期よりも高くなります。よくてんかんは人口の1%ぐらいの有病率があると言われていますが、高齢者に限って言えば、この割合はさらに高くなります。この患者さんたちを適切に診断・治療し、通常の社会生活が送れるようにすることは、上記の高齢化がすすむ社会の中では、より重要になっていくと考えられます。
高齢者のてんかんでよく言われるのは、「診断も治療も難しい」ということです。これはある面では正しく、ある面では間違っています。
まず診断が難しいのは事実だと思います。高齢者発症のてんかんは発作の頻度が少ない事が多く、またけいれんなどの目立つ症状が少なく、少しボーっとするとか、様子がおかしいというぐらいにしか見えない症状が多い事が知られています。そのため容易に見逃されますし、よく言われることですが、認知症と間違って診断されたりします。また高齢者のてんかんは長時間発作が続きやすいという特徴もあり、これがさらに診断を難しくします。少しボーっとしたり上手くしゃべれないといったエピソードが長時間にわたって消長を繰り返しながら続いたりするので、あまり「発作」的な印象を持たれにくくなります。ですので、昔からこのような症状が頻繁にあるにもかかわらず、てんかんの診断がついたのはけいれんが起こってから、というのはよくある状況です。
一方、治療については、高齢発症のてんかんはとても治療がよく効く事が知られています。一般的な抗てんかん薬の用量の数分の一、といった量でも発作がぴたっと止まってしまいます。これは小児や通常の成人のてんかんとは全く違います。いわゆる難治てんかんは脳出血や脳挫傷の後遺症であるとかいう場合を除けばほとんどおられません。この点だけみれば、高齢者のてんかん治療は困難ではありません。
ふつうはてんかんの治療というとお薬を十分に使って発作を起こらないようにすることが重要ですが、高齢者に限って言えば、より少ない薬で発作を抑えることが可能です。これは副作用の点からとても重要でして、高齢者は眠気やふらつきなどの抗てんかん薬の副作用がとても出やすいです。その点からも少量で発作が抑えられる薬を探すことが大切になります。あまりこの点が意識されずに、通常のてんかん治療のように抗てんかん薬が処方され、ふらふらになってしまった、というお話はよく聞きます。テグレトールなら100mgとか、50mgを寝る前に1回とかでも止まる人もいるので、決して通常の開始用量で治療しないようにしたほうがいいですね。
高齢の方は服用している薬剤が多いとか、腎機能や肝機能が低下している事が多いので治療が難しい、といったこともよく言われますが、抗てんかん薬の選択や、ごく少量から治療するという基本さえ外さなければ、難治てんかんで治療に難渋するケースなどに比べれば、困難を感じる事はむしろ少ないですね。
つまり、治療にたどり着くことさえできればなんとかなることが多いので、あとは診断です。少し様子がおかしいな・・・というぐらいのことがとても大事です。高齢発症のてんかんはよくあるものですから、おかしいなと思ったらお近くの神経内科の先生などに相談してみましょう。
2016年7月15日金曜日
夏季休診のお知らせ
小出内科神経科は8月10日(水)~8月15日(月)、夏季休診とさせていただきます。また副院長、小出泰道医師の外来は7月26日(火)~7月30日(土)は休診となります(院長外来は通常通りです)ご相談や急ぎの書類のご依頼等ありましたら、早めにご連絡ください。
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